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映画「何者」

 映画「何者」を観た。

 就活を舞台に、登場人物それぞれ、キャラが立っていてとても良かった。特に主人公の拓人が冷笑家で、自分の友達やらを達観して見下し、その自己分析とやらをツイート(もちろん所謂裏垢というやつで)しまくる、という人間のどうしようもなさがとても好感もてた。

 俺は浅井リョウの本は読んだことはないけど、以前映画化になった「桐島、部活やめるってよ。」は観たことがある。映画で一度たりとも姿を現さない桐島を舞台装置に話が進んでいくのですが、今回もその霧島くん同様に顔を現さない「銀次」というキャラが、主人公のキャラを際立たせる上で機能していたのが良かった。就職活動に苦難する拓人が、夢を追い奮迅する銀次をネラーのような視点でこけおろし、隆良のような”世間に迎合しない価値観を持つ俺”を演出する輩と一緒くたにして、先輩に「お前こそもっと想像力あるやつだと思ってたよ」と戒めに近い言葉を受けるシーンは何だかムズムズきました。「頭の中にいる内は傑作なんだって」「10点でも20点でもいいから結果をだしなよ」とか、耳が痛くなる言葉もちらほら。

 拓人、理香、隆良の三人が、自尊心を保つが為にSNSで自分の努力過程なり趣味嗜好なりをポストする現代の若者像を皮肉たっぷりに描かれて、最後に彼らがそういった人間なら誰しもあるであろう欠点を持つ自身を見つめ直し、前に進んでいく。終わり方は明らかなハッピーエンドではなかったけど素敵なものだったと思います。話柄「演劇」というものが絡んでくるのですが、映画内での再起エピソードが演劇という形で表現されてた。

 どうでもいいけど、受験勉強していた時に予備校の先生が「受験というものは徹底的に自己と向き合ったものが勝ちますからね」と言っていたのを思い出した。

 

2016.11.14追記

 先輩から原作本を貸してもらったのを思い出した。大体は同じで、細部省かれてあっって、本でのサワ先輩の「使われなかった言葉の方が大事じゃないかと思うんだよ」という言葉(確かこんな感じだった気がする)が映画内では「俺はそのTwitterとかいうのやってないからよくわからないけど、それだけで判断するのやめろ」(これも不正確なものです)という台詞になっていた気がする。言われてみればSNSでも現実でも、僕が見ている誰かは、その人の全てじゃなくてただの一面なんですよね、それも僕の色眼鏡を通した。